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U.Ge Lab コラム

幸せペンタゴン 私のアオハル ~輝きの時~ ⑥

四季の色を「体感」していたアオハルの話。

山紫水明の広々とした高原に生まれ育った私は
遠くに見える那須連山とどこまでも続く田んぼの広がる関東平野で過ごしていたが
18歳の春、進学のために訪れた会津地方で間近に迫る山に圧倒された。
「山が近すぎてコワイ。」
盆地のため向こう側が見えない恐怖、遮られるような閉塞感におびえつつ新生活をスタートさせた。

そんな中転機が訪れたのは5月新緑の頃、
桜もまだ咲かないひんやりとした気候の裏磐梯地方への遠足で
五色沼(ごしきぬま:名の通り、湖ごとに色が異なる)の神秘的な美しさに魅了された頃だ。
沼は磐梯山の噴火によって流れ込んだ堆積物の種類によって水たまりの見映えが異なるらしい。
ピンとはった水面に映りこむ周囲の景色、透明度のなんと素晴らしいことか。
ここから自然の色への興味が一気に沸いてきた。

そして盛夏の頃には、山の万緑と、聞こえてくる蝉の声で活力がみなぎる気持ちになった。
秋に出かけたローカル只見線(気動車、非電化)の旅は、まるで錦の紅葉オンパレード。
驚くほどの黄赤の鮮やかさと突き抜ける青空のコントラストで異次元の世界に来たような衝撃。
日常においても、学校の屋上から見る夕焼けは自慢の風景。地元民評判の美しさだった。
冬の町は一面の銀世界。朝からずーっと静か。
音は雪に吸収されているのか、サクサク歩く足音以外聞こえてこない。
通学路がまぶしい。これまでこんな経験はあまりなかった。
光が雪に反射するとまぶしいのだと初めて気づく。

卒業後、久しぶりに彼の地を訪れるために乗車した磐越西線でのこと。
スイッチバックのある中山宿駅では待ち時間が発生する。
しんと静まった山の中。聞こえてくるのは風に揺れる木々の葉音のみ。
なんという癒しの時間。こんなにも世界は優しかったのか。何にも邪魔されない、そんな時間の体験。
私がU.Geになったらもう一度この四季の幸せを「体感」したいと思う。

絶景・自然 – 裏磐梯観光協会 (urabandai-inf.com)

風景写真のすすめ (tadami-net.com)

富士通株式会社 デザインセンター エクスペリエンスデザイン部 深谷 正子