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U.Ge Lab コラム

私の幸せの風景 ― “明”を際立たせる“暗”  ―

私の幸せの風景というお題なのに、なんで暗い風景?と思われるかもしれません。
 “幸せ”そのものをイメージしているというわけではないのですが、2021年を終えて思い浮かんだのが“夜明け前”の風景でした。

泣きっ面に蜂とは言いますが、コロナによる環境の変化で精神的に疲弊している中、高齢の親の介護が始まったり、体調の変化があったりと私にとっては試練オンパレードの一年でした。
もっと辛い思いをされている方もたくさんいるんだ、と自分に言い聞かせながらも、先が見えなくて何度も心が折れそうになりました。もう耐えられないと思ったときに、なぜかふと思い浮かんだ言葉があります。

夜明け前が一番暗い

調べてみるとイギリスの諺で、「苦難や雌伏の期間は、終わりかけの時期が最も苦しい。それを乗り越えれば、事態が好転するだろう。」(デジタル大辞泉) という例えだそうですが、私は少しだけ違う解釈をしました。
仕事で“黒”の色材を扱っていた時に、明色を際立たせる役割として漆黒を求められたことがありました。
それまでは、黒単体で、どれだけ黒くできるか?ということばかりに気を取られていましたが、明色をより美しく見せたり 、際立たせる黒の存在もあるのだと、ちょっと新鮮に感じたことを覚えています。

私は幸せと苦難も同じような関係にあると思うのです。
苦境に立たされると、ずっとこのままなのではないか?と不安に思うことや、自分が一番不幸であるかのように錯覚してしまうことがあります。そんな状態でも、ちょっとした人の親切がとても嬉しく思えたり、これまで当たり前のように思っていたことやほんの些細なことを幸せに感じられることがあります。恵まれた環境にいると、それが当然のことのようになってしまい、幸せを感じなくなってしまいますが、辛い、苦しいと思う時間は、そんな見失ってしまっている幸せに気付くために必要なのではないかと思えるのです。

夜明け前、闇が空を覆っているからこそ、太陽がより一層美しく見えるのではないでしょうか。 
明けない夜はない!どん底にあるとき、それは幸福な時を迎える一歩手前にいるのかもしれません。

トーヨーカラー株式会社 着色営業部第1G 塙 千佳