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U.Ge Lab

U.Ge Lab コラム

結と唯、円と縁。

JAFCAと共に2011年から経年的に実施しているデザインリサーチに店舗調査がある。その年の新しい店舗、コントラクト系建築の内装材、家具什器のCMFや空間コンセプトをリサーチし、分析を試みるもの。図のように店舗の特長を5つの漢字ワンワードで分類。自然を感じる「然」、仕上げ、ディテールへのこだわり「質」、文化や時代を感じさせる「時」、つながりやコミュニケーションを誘発する「結」、自由・混在・遊び心のある「融」。毎年、その方向性を確認しているのだがマップのワンワードのポジションについての変化を説明しておきたい。2017年までは「然」で表現されるナチュラルベースの空間が多く、マップの中心に配置したのだが、2018年に店舗の考え方が変わったと捉えている。つながる空間、食でつながる、仕事でつながる、イベントで、共感できるものでつながる。そして外へつながり、まちへと広がる…。そんな兆しを捉え「結」を中心としたマップに変更した。それはコミュニケーションの場を演出する方向へのシフトと言える。さらに店舗ならではのオンリー感は益々重要となり、唯一無二、ここだけで購入、体感できるモノ・コトを提供するという潮流が今に続く中、「結」は「唯一」の「唯」も内包し、つながっている。

(2018年店舗調査説明の店舗曼荼羅の変化を図とする)

空間設計でゾーニングを考える時、円(楕円)と円の関係で空間を定義づけるところから始まる。様々な円の集合で空間が創造されていくのだが、小生は円のオーバーラップする空間のあり方、ディテールの処理をどうするかが大切だと考える。そこは「結」の場でありつながりをいかに表現するかで円と円の関係のスムースさが決定づけられると思う。今年のU.Geカラーのコンセプトは「縁」と書いて「えにし」である。研究会でのカラー設定のプロセスにて検討、候補色がパレット上にカタチ作った色の円、その関係性と言葉の響きから「縁」が設定された。「円」は「縁」につながり、縁で結ばれ、様々な周囲と接する中で良縁となっていくイメージ。今年のU.Geカラーの背後には「結」と「唯」、「円」と「縁」のワンワードが広がり、重なり彩られている。

コロナ禍の中、様々な制約の中でいかにつながるのかが問われている。今年の店舗調査ではオープンエアースタイルでの外と内との「縁」が注目されている。住宅では昔ながらの「縁側」の機能性が見直されている。「縁は異なもの味なもの」それぞれがどこでどう結ばれるのが良いのか…。様々な実験が世界的に行なわれている新常態、意義ある「縁」を具現化した今年のU.Geカラーを是非ともご確認いただきたい。

また、冒頭の店舗調査については毎年季刊誌「流行色」春号”COLOR BOX”に詳細レポートを共著しているのでバックナンバーにてご確認を…

記・凸版印刷株式会社 環境デザイン事業部クリエティブ本部 井ノ口清洋