水の形

水は色を持たない。水面に映ったものの色に変化する。空の色を映して青色になったり、木々の色を映して緑色になったり、降り注ぐ太陽の光を反射してキラキラ輝いたり、時には都会の街並みを映し出して多彩な色に変化する。高齢者のライフスタイルも水のように「融通無碍（ゆうずうむげ）」に、多才であってほしいという思いを込めて、テーマを「水の形」とした。

各グループ名には「氵（さんずい）」が付いており、「水」にちなんだ異なるスタイルを表した4 つのグループで構成している。水のように自由に形を変えながら、自分とこれからの時間を自分自身でデザインするためのカラーを提案する。

湧く

赤～黄系の色相で、明るく鮮やかな色で構成したカラーグループ。暖かい日差しが降り注ぐ春に、芽を出し、花を咲かせる草花のように、内側から湧き上がるエネルギーをイメージし選定した。赤・橙・黄は「やる気」「喜び」「若さ」というエネルギーを感じる言葉を連想させる色である。また「エレガンス」をイメージさせるピンクは、女性の好きな色の上位色である。色みがはっきりしているため、他のカラーグループにアクセントとして組み合わせても面白い。身に着けるとわくわくして今すぐに出掛けたくなるような、気分が高揚するカラーである。

深まる

ブルー系の色相が中心のカラーグループ。全体テーマの「水」は、海では水面の明るい青から深海の暗い青まで様々な表情を見せるため、青緑～青紫の色相・さまざまなトーンの色で構成した。今回の調査によれば、ブルーは男女ともに好きな色の上位色であり、服飾ファッションにも、住環境にもかかせない色である。また、「クール」「知的」を連想させるため、さまざまな人生経験を経て深い知識を持つ人たちをよりクールにかっこよく見せてくれる。

滴る（したたる）

ブラウン系の色相、グレイッシュな色みを中心に構成したカラーグループ。このカラーグループは、特に住環境のベースカラーを念頭に置いて選定された。シニア世代があこがれる「落ち着いた」暮らしをイメージし、大地の土の色や、長い年月をかけて根を張り成長した大樹の色のようなベージュ～ブラウン系の低～中彩度色を選定した。ベージュは、「なごみ」「安心」を連想させる色でもある。アクセントには上質な光沢感を持つシルバーや穏やかなピンク系カラーを入れた。インテリアはもちろん、服飾、ファッショングッズとしても、使いやすく大事な色である。

澄む

カラードホワイト（わずかに色みを感じるホワイト）やペールトーンといった淡い色調で構成したカラーグループ。冬の澄んだ空気のように、透明感があり洗練されたさわやかな雰囲気をイメージした。白髪を隠さず、ありのままの姿で堂々と生きるシニアに軽やかにまとって欲しい色である。時間をかけて角が取れ丸みを帯びたシーグラスのように、時間を経ることで表れる色、作り込まず、偶然生まれる色、素材感が注目される。繊細だが、「芯がある」強さを感じる、生活の質を高めてくれるカラーである。