2022-2023向け U.Geカラー
風が吹く
2020年度の活動は、ほとんどがリモートによるものだった。
本研究会の目的は、アッパージェネレーション(50歳以上)のライフスタイルや色彩志向を研究し、彩り豊かな暮らしに向けたカラーを提案することである。
新型コロナウィルスのパンデミックは、多くのアッパージェネレーションにとって新しい経験だっただろう。
現役である人も、そうでない人も多くのことを学んだはずだ。生活スキルとしてはデジタル化を学び、
人生観としては、生きることと死ぬことについて改めて考え、身の回りを整理した人も多かったと思う。
2020年度はSDGsに向けた活動も開始した。SDGsが掲げる目標の中には「誰一人取り残すことなく…」という意味のくだりがある。
そのためには社会の成り立ちを変えていかなければならない。
幸運にも、ミレニアル世代、Z世代と言われる若者たちは横のつながりを大切にしている。
その親世代は、本研究会の対象となるアッパージェネレーションだ。この3つの世代の共通点は「利他的」であること。
彼らは社会課題を解決するために行動を起こす人たちで、年齢性別、国、肌の色に関係なく、
人として、地球の住人として、彼らには自分たちがすべきことをしていくという覚悟がある。
昨年末に実施したアンケートでは、後世につないでいくことに触れた回答が多かった。
好む色彩についてはイエローやブルーが多かった。どちらも希望につながる色だ。
閉塞感が続いていた時代に風穴があきそうだ、という意見も出された。
風の時代がやってくる。星占いで語られていることだ。「風の時代」と聞けば、普段占いを信じない人にも、何かが変わりそうな期待がわく。
風の時代には、物を所有して身動きがとれなくなるより、身軽に風のように移動できるライフスタイルが好まれるようになるという。
目に見える物よりも、目に見えない知性や人とのつながりが重視されるという。まさに、前出の世代が志す生き方のようだ。
カラーテーマ「風が吹く」
コロナ禍を乗り越えた時、爽やかな風が吹くことを祈って「風」をテーマにした。
日の光の下で風に揺れるマリーゴールド、春、芽吹き時の銀灰色(ぎんかいしょく)、
すくすくと伸びる植物の緑、命をつないでいく生活の中で生まれたクラフト…季節の風に乗って新しいことに挑戦する勇気を与えてくれる色が選定された。
カラーグループ
野分(のわき)
秋から冬にかけて草原を分けるように吹く風
お日さまの光は誰にも平等だ。
冬のひだまり、澄んだ空を思わせる青を、優しいブラウンと組み合わせて活用する。
薫風(くんぷう)
若葉の香りを運んでくる夏の風
すくすくと伸びる青葉、強い日に照らされて落ちる影、クラフトに見られる藍と紅で構成した。
春一番(はるいちばん)
春先に吹く南風
早春の里山はけむるように銀灰色で彩られる。やわらかで、静かな空間をつくる色で構成した。